法人向け保険契約について

生命保険について気になったことがあるので、ひとつ書き残したいと思います。
ある若手のFP(ファイナンシャルプランナー)がブログで、事業会社に生命保険を契約させたいのは税理士事務所や金融機関側が儲けたいために言っているのであり、事業会社のことを思って言っているのではない、と断言していました。

これに関してそうではない、と反論しておきます。
 代理店業務を積極的にやっていない税理士事務所は保険会社による評価が低く、代理店報酬自体が低く設定されています。要はそんなに税理士事務所が儲かるものではないということです。(もちろん保険会社・税理士事務所ごとに実情は違います)

私が言いたいことは、代理店手数料などという小さな話ではなく、もっと大きな話。
事業、経営、経済環境、そして、人生にも当てはまることです。
要は、あなたが神様から愛されたよほどの天才でない限り、あなたの事業、あなたの人生が一直線に右肩上がりになるということはまずないということです。

経済環境について考えてみましょう。
2008年リーマンショック、2011年東日本大震災、2020年コロナ禍。ここ10年位を振り返っても定期的に金融市場にショック波乱が起きていることが分かります。
いやでも自分の業種には金融市場は関係がない、これまでずっとうまく行った。
たしかに、そうかもしれません。

では、事業会社の一般的な商品のライフサイクルを考えてみることにします。
①新商品の開発→②新しいもの好きが飛びつき需要が拡大→③メーカーの利益拡大→④新規参入増→⑤価格下落→⑥成熟産業(残存者のみ利益)
商品のライフサイクルを観察するとこのような法則があることが分かります。
やはりいつまでも良いときばかりではないことが分かります。

今度は、私が大手メーカーの子会社の経理をした頃の話です。
私が所属していたメーカーのグループは子会社を作って新事業をすることが多かったのですが、10年間利益を出し続けるということはかなり難しいことでした。
規制の変化、技術革新、競合他社の追い上げなど理由は様々でしたが、景気の波を受けないということはありませんでした。

このように良いときも悪いときもあるというのが、自由経済・資本主義経済の本質です。
「そんなことは分かっている。学校で勉強した。」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、本で学んだことと、実際の経験で学んだことでは大きな差があります。

最初に出てきた若手のFP(ファイナンシャルプランナー)も学校で景気変動については学校で勉強したことでしょう。でも血や肉になっていないのです。
人生経験が蓄積されてくると「禍福は糾(あざな)える縄の如し」(良いときも悪いときもある。万事塞翁が馬。)ということが、記憶されるのです。

つまり利益が出ているときに、想定しえないような悪い時期が来るかもしれないから、少しだけ保険をかけておくというのは、そんなに悪い選択ではないと思っています。

通常、経営者は前向きなこと、事業拡大を考えます。そして、良いときほど悪くなった時のことは考えられないものです。
 日本経済がバブルに沸いていた時代、日本人のほとんどが景気後退について考えることができませんでした。その結果、バブル崩壊後、大銀行や不動産会社、事業会社がたくさん倒産しました。そして景気回復には長い年月を要したのです。

業績が良い時こそ、無理のない範囲で少し保険をかけておく。そういう趣旨で私は保険を提案しています。